【高卒から公務員になる方法】具体的な流れや職種を解説!

今回は高卒でも公務員になれるのか徹底解説していきます。

結論から言うと、高卒だろうが試験を受けて公務員になることは可能です。

しかし、一言で「公務員」と言っても様々な職種があります。

そこで高卒からなれる公務員職種の一覧や、具体的な就職方法まで詳しく解説するので、「高卒だけど公務員になりたい!」という方はぜひ参考にしてくださいね。

高卒でも公務員になれるのか?

結論からいうと、高卒でも試験を受けて合格すれば公務員になることは可能です。
実際、高卒で公務員として活躍している人はたくさんいます。

とはいえ、公務員といっても多くの種類があり、受けるべき試験も変わります。

そこで、最初に公務員にはどのような種類があるのかおさらいしておきましょう。
まず、公務員には大きなくくりとして次の2つがあります。

  • 国家公務員:国の仕事をする人
  • 地方公務員:都道府県や市町村の仕事をする人

それぞれの特徴を見ていきましょう。

国家公務員とは

国家公務員は、簡単にいうと国家機関で働く人たちのことです。
国家機関とは、たとえば内閣府や厚生労働省、経済産業省といった1府12省庁ですね。

裁判所や国立国会図書館なども国家機関にあたります。
また、裁判官や国務大臣、国会議員なども国家公務員です。

ただし、これらの職は公務員試験にパスすればなれるものではなりません。
ここでは、公務員試験を受けて合格すればなれる国家公務員に限定して話しますね。

国家公務員の2つの種類

省庁で働く国家公務員には大きく次の2つの区分があります。

  • 総合職:基本的に中央官庁のみで採用。幹部候補生として政策立案や法案作成など重要な仕事を行う。
  • 一般職:中央官庁と出先機関で採用。総合職のサポートとして事務処理などの定型的な業務に就く。

このほかに税務署で働く税務職員や皇宮を警備する皇宮護衛官などの採用試験もあります。

試験は学歴でわかれている

総合職も一般職の試験も、学歴により以下のような区分があります。

区分 試験名
総合職 院卒者
大卒程度
一般職
(事務、技術、農業土木、林業)
大卒程度
高卒者
社会人

ただし、高卒なら高卒者試験しか受けられないわけではありません。
受験を希望するにあたって注意したいのが、高卒者試験には年齢制限がある点です。
受験する年の3月までに中学か高校を卒業する見込みがあるか、卒業から起算して2年以内でなければ受験できません。

試験は学歴で区分されていますが、これは受験資格ではなく試験の難易度を示すものです。
高卒試験の年齢制限にひっかかるときは、大卒程度試験を受ける方法もあります。

とはいえ、難易度はかなりはねあがりますので、覚悟しましょう。

社会人試験は主に技術職と農業土木職などでの採用が多く、必要な年に実施されます。

地方公務員とは

地方公務員とは、都道府県や市町村などの自治体で働く公務員を指します。
県庁や市役所、公立学校で働く職員、消防官なども地方公務員です。

地方公務員の採用試験には、以下の3つの区分があります。

区分 試験名
上級(Ⅰ種・Ⅰ類) 大卒程度
中級(Ⅱ種・Ⅱ類) 短大卒程度
初級(Ⅲ種・Ⅲ類) 高卒程度

地方公務員試験の受験資格は、自治体によって多少の違いがあります。
特に注意したいのが年齢制限です。

ほとんどの自治体で、高卒程度の試験を受験できるのは18~21歳までとしています。
自治体によっては年齢の上限を少し引き上げているところもありますが、地方公務員試験初級を受験するなら早めの行動が大切です。

国家公務員試験と同様、高卒でも中級や上級を受けることはできます。

高卒からでもなれる公務員の種類

公務員にはいろいろな職種があります。
では、具体的に高卒からなれる職種にはどのようなものがあるでしょうか。

高卒でなれる国家公務員の種類

高卒程度の国家公務員試験を、実施する主体別にまとめると以下のようになります。

実施主体 職種
行政府(人事院) 国家公務員一般職(高卒程度)
皇宮護衛官(高卒程度)
国会図書館一般職
刑務官
入国警備官
税務職員
司法府(裁判所) 裁判所職員一般職(高卒程度)
立法府(国会) 衆議院事務局職員一般職(高卒程度)
参議院事務局職員一般職(高卒程度)
衆議院事務局専門職(衛視)(高卒程度)

国家公務員一般職は、先に述べたように総合職のサポート行う仕事ですね。

皇宮護衛官は皇宮警察署に勤め、皇居や御所の警備にあたります。

刑務官は刑務所や拘置所に勤務し、収容者の生活指導や職業訓練、保安警備にあたることが主な職務です。

入国警備官は、地方入国管理局、支局、入国管理センターなどに勤め警備にあたるほか、不法入国者の摘発や調査、収容なども職務に含まれます。

衆議院事務局職員専門職(衛視)の衛視とは、議長や議員などを警備する仕事です。

高卒でなれる地方公務員の種類

地方公務員の初級には次のような職種があります。

実施主体 職種
都道府県 事務:県庁などの一般行政事務、警察署の警察事務、公立学校の学校事務
技術:土木、農業、林業、電気、機械、建築
警察官
市町村 事務:市町村役場の一般行政事務など
技術:土木、農業、林業、電気、機械、建築
消防官

ただし、すべての自治体で毎年全職種を採用しているわけではありません。
年や自治体によって、採用予定がない職種が出ることも多いです。

一般行政事務は、県庁や教育委員会、議会などに配属されて一般的な事務を担当します。

学校事務は都道府県内にある学校で事務員として働きます。

警察事務は、警察署で一般的な事務を行うのが仕事です。

技術は、発電管理所や工業技術センター、本庁の土木部など知識を活かせる部署に配属されて専門業務にあたります。

高卒から公務員になる具体的な流れ

公務員の試験が実施されるのは年に1回しかありません。
申し込みから採用までの流れを知り、入念に準備しましょう。

国家公務員一般職を目指すときの流れ

ここでは、国家公務員の一般職と地方公務員初級の流れについて紹介します。

具体的なスケジュール

まずは国家公務員一般職の試験の流れを紹介します。

時期 動き
5月上旬 受験案内発表(人事院サイトに掲載)
6月中旬~下旬 受験申込期間
9月上旬 1次試験
10月上旬 1次試験合格発表
10月中旬 2次試験
11月中旬 最終合格発表 → 希望する省庁で採用面接

最後のところで「これはどういうことだろう」と疑問をもたれた方もいるかもしれませんね。
実は、2次試験に合格したらすぐに採用に至るわけではありません。
合格したら、働きたい省庁を訪れて採用面接を受けて内定を得る必要があるのです。

以下は人事院が発表している2020年度の採用スケジュールですが、これにも最後に採用面接を受ける必要があることが明示されていますね。


【人事院国家公務員試験採用情報NAVI】採用情報より抜粋

試験の内容は?

ここでは、どのような試験が行われるかを見ていきましょう。

【事務】

1次試験:筆記試験

  • 基礎能力試験(公務員として必要な能力があるかを問う)
  • 適性試験(早く適性に事務処理ができるかを問う)
  • 作文試験(文章による表現力や課題に対する理解力を見る)

2次試験:人物試験

  • 個別面接
  • 性格検査

【技術、農業土木、林業】

1次試験:筆記試験

  • 基礎能力試験(公務員として必要な能力があるかを問う)
  • 専門試験(必要な専門知識があるかを見る)

2次試験:人物試験

  • 個別面接
  • 性格検査

地方公務員初級を受けるときの流れ

地方公務員は各自治体が採用試験を実施し、エリアによって日程が異なります。
希望する自治体のホームページをよく確認しましょう。
ここでは、一般的な試験の流れと内容を紹介します。

具体的なスケジュール

一般的な流れを紹介します。

時期 動き
5~7月 受験案内配布
7月上旬~8月下旬 受験申込期間
9月下旬 1次試験
10月上旬~中旬 1次試験合格発表
10月中旬~下旬 2次試験
11月中旬~下旬 最終合格発表

試験の内容は?

試験内容は自治体によって異なります。
事前にしっかり調べて対策しておきましょう。
ここでは、一般的なパターンを紹介します。
【事務】

1次試験:筆記試験

  • 教養試験(一般知能、一般知識、時事問題など)
  • 作文試験(文章による表現力や課題に対する理解力を見る)

2次試験:人物試験

  • 個別面接
  • 適性検査

【技術、農業土木、林業】

1次試験:筆記試験

  • 教養試験(一般知能、一般知識、時事問題など)
  • 専門試験(必要な専門知識があるかを見る)

2次試験:人物試験

  • 個別面接
  • 適性検査

高卒から公務員を目指すメリットデメリット

高卒から公務員を目指すことは、メリットもあればデメリットもあります。
それぞれ把握し、目指すかどうか判断すると良いでしょう。

メリットは主に3つ

メリットは主に次の3つが挙げられるでしょう。

  • 給与が安定している
  • 福利厚生が手厚い
  • 大卒程度試験より平易で挑戦しやすい

以下にそれぞれ説明します。

給料が安定している

もっとも大きなメリットは、公務員は給与が安定している点です。
民間企業の場合、今は業績が良くてもいつ落ちるかわからない怖さがあります。
業績が悪化して給料ががくんと下がったり、最悪の場合倒産したりする可能性もあるわけです。

公務員にはこのような心配はありません。
社会的な信用もあり、クレジットカードや住宅ローンの審査にも通りやすいです。

福利厚生が手厚い

福利厚生とは従業員や家族の幸せや利益を充実させるための制度のことです。
法律で決まっている法定福利厚生と、勤め先が独自に設定できる法定外福利厚生があります。
法定福利厚生は法律で義務づけられているもので、主に社会保険料の負担を指します。

一方、法定外福利厚生は勤め先が従業員のために独自に設けているさまざまな制度のことです。
独自に設定しているもののため、勤め先によって内容が大きく違います。

公務員の場合はこの法定外福利厚生の内容が手厚いです。
たとえば、住宅手当や扶養手当などの諸手当、産前産後休暇や育児休暇などの休暇制度、ホテルや映画館などの施設の優待利用などがあります。

民間でも大手企業であれば同程度のサービスを利用できるところは少なくないですが、全体としてみれば良いほうでしょう。

大卒程度試験より平易で挑戦しやすい

すでに説明したように、公務員試験には「大卒程度」「高卒程度」などの区分があります。
大卒程度の試験では一般的な教養に加え専門知識も問われる一方、高卒程度で問われるのは教養のみです。

そのため、高卒程度を受験するのであれば勉強する範囲が少なくてすみます。
これは大きなメリットといえるでしょう。

進学校に在籍するような勉強ができて試験に強い生徒は、大学に進学することが一般的です。
公務員試験を受ける生徒はそれほど多くありません。

一方、大卒程度の試験は一流難関大に在籍している学生も多く受験します。
つまり、大卒程度のほうが手ごわいライバルがたくさんいるといるのです。

その面でも高卒程度の試験のほうが難易度が低く、挑戦しやすいでしょう。

デメリットは2つ

高卒から公務員を目指すデメリットには主に次の2つが挙げられます。

  • 将来の出世に制限がある
  • 専門性が身につきづらい

以下にそれぞれ説明します。

将来の出世に制限がある

国家公務員の場合、総合職は高卒程度の試験がありません。
大卒程度を受験することは可能ですが、高卒者が採用されることは実際にはかなり難しいのが現状です。

幹部候補生として扱われるのは総合職のほうであり、一般職はあくまでサポート的な位置づけです。
どちらも国民のために働くやりがいのある仕事であることは間違いありませんが、一般職では幹部クラスに昇進するなどの大きな出世は難しいでしょう。

地方公務員の場合、大卒でも高卒でも途中までは出世にそれほど大きな差はつきませんが、幹部クラスとなると、大卒が勤めることが一般的です。
役職がつけば給与にも差がつくため、大卒と高卒では収入面でも差がでます。

自治体や職種による違いもあるため、高卒でも幹部クラスで活躍している人もなかにはいます。
とはいえ、一般には出世しづらい環境といえるでしょう。

出世して大きく活躍することを望む人にとってはデメリットです。

ちなみに将来的に年収1000万円以上稼ぐようなキャリアアップがしたい人は公務員には向いていません。

向上心の高い方は「高卒でも年収1000万円を超える具体的な方法」を併せて読んでくださいね。

専門性が身につきづらい

通常、公務員は数年ごとに異動があります。
異動の周期は2~4年程度が多いでしょう。

これは、公務員が特定の場所で長年働くことで関わりのある企業と親密になりすぎ、癒着などの不正を招くことを避けるためです。
また、さまざまな業務を経験し、視野を広げるという意味合いもあります。
ひんぱんな異動にはちゃんと理由があるのですね。

とはいえ、異動先がこれまでの仕事とは関係のない部署であることも多く、一から仕事を覚え直さなければならないケースは珍しくありません。
これでは、専門性を身につけることは難しいでしょう。

ずっと公務員でやっていくつもりではあれば、それほどデメリットではないかもしれません。
しかし、たとえば一般企業に転職したくなったときなどは、専門性があるかどうかが成功の鍵です。
強い分野や高い専門性がなければ評価されづらく、なかなか内定が得られない可能性があります。

高卒から公務員になった場合の給料の目安

給料がいくらもらえるかとは気になりますよね。
収入が安定しているためか、公務員は高給取りとのイメージを抱いている人も多いようです。
それでは、実際にはいくらくらいなのか、見ていきましょう。

国家公務員一般職(高卒程度)の給料はどの程度?

国家公務員の給与は法律によって決められていて、「俸給」と「諸手当」からなります。
俸給は「ほうきゅう」と読み、民間企業の基本給に該当するものです。

諸手当は、扶養手当や住居手当、通勤手当、ボーナス、勤勉手当などがあります。
ボーナスは民間企業の支給実績の平均に合わせて決まるため毎年変動し、4~4.5カ月分程度です。

俸給は俸給表が一般に公開されていて、誰でも閲覧可能です。
横軸に役職の段階を示す「級」、縦軸に勤務年数や功績を示す「号俸」があり、該当する級と号俸の交わるところをみれば給与がわかります。

学歴や職務によって最初から号俸は異なります。
一般職の高卒者は1級5号が該当し、俸給表を見れば15万600円(令和2年4月)であることがわかります。

ここに通勤手当などの諸手当がつきますが、それでも高給といえる水準ではありませんね。
ただし、勤務年数や功績に応じて号俸は安定して上がり続けますし、役職につけば級数も上がります。

そのため、俸給もどんどん上がっていくしくみです。
勤務年数が浅いうちは決して給料が高いとはいえないものの、長くなるほどたくさん受け取れるようになります。

次に、国家公務員の平均俸給額を見てみましょう。
人事院による平成31年度国家公務員給与等実態調査(※1)によると、行政職の平均俸給は41万1123円です。
賞与を4.5カ月で計算すると年収はおおよそ670万円と推定できます。

ただし、これは総合職と一般職のどちらも合わせての平均額です。
総合職のほうがはるかに出世のスピードが速く、収入も多いため、一般職の平均はこれよりもやや下がります。

それでも、国税庁の「民間給与実態調査」(※2)によると、民間企業に勤める給与所得者の平均年収は441万円なので、比べるとなかなか良い金額といえるのではないでしょうか。

※1人事院「平成31年国家公務員給与等実態調査の結果
※2国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査結果について

高卒程度の地方公務員の給料はどの程度?

地方公務員の給与は給料と諸手当からなり、給料は給料表によって決まります。
給料表は俸給表と同じで、縦軸に号給、横軸に級数があり、その交わるところで金額が決まるのです。

給料のほかに、地域手当や通勤手当などの諸手当が支払われます。
給与水準は国家公務員とほぼ同じで、民間企業の状況を考慮して見直しが行われ、大きな違いが出ないよう改定されます。

行政職の場合、新入職員であれば1級からのスタートとなり、号給は職種ごとに決定しています。

例として、青梅市を見ていましょう。
以下は青梅市の規則で、事務の高卒者は1級5号給ですね。


そこで、青梅市一般職員の給与に関する条例に定める給料表で1級5号給のところをみると、14万5600円であることがわかるのです。

これに、諸手当が加算された額が給与です。
地方により若干の差があるとはいえ、およその目安になるでしょう。

これも、特に高給とはいえない金額です。
とはいえ、国家公務員と同様、最初は安くても勤続するほどコンスタントにあがっていきます。

次に、地方公務員の平均給与額を紹介しましょう。
総務省による平成31年地方公務員給与の実態調査(※)によると、一般行政職の平均の給与月額合計(基本給+諸手当)は40万6201円です。

賞与は自治体によって異なりますが、国家公務員に準ずるケースが多いため、4.5カ月分として考えて計算してみましょう。
すると、約670万円になります。

ただし、これは初級、中級、上級の区別がありません。
最初の号数時点で差がついているため、初級はもう少し下がることが考えられます。

また、都道府県によって地域手当の金額にも大きな差があるため、自治体によって給料には差がでます。
あくまで目安と考えましょう。